ゲシュタルト崩壊フラグさんの個展に行きました

ゲシュタルト崩壊フラグさん初個展 京都 : 京都新聞

京都新聞で取り上げられてLINEニュースにも載ってたらしいです。すごい。

ゲシュタルト崩壊フラグさん(以下、ゲシュさん)が初個展をするということで、8日にゼミの同期と一緒に行きました。

場所はMATTua-LAという、清水五条の障害者就労事業所がやっているアトリエです。

ゲシュさんとは別の団体の機関誌でその活動を知ったのですが、「夕暮れ」という絵を見てすごく感じ入り、しばらくそこのアトリエに出入りしていました。

最初はその色彩に魅了されたんですが、彼女や他のアール・ヌーヴォーの絵にも特徴的なのは稠密で複雑な文様で、ここ数年はそこからさらに発展して新作文字を絵とともに書くようになっており、その点でいわゆる「障害者によるアート」の域を超えているように思えます。

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「文字新作」という症状が精神病理学にあります。文字は僕の研究対象であり分析概念なんですが、彼女の文字には意味がありません。欠落しているというよりは、元々意味がないんですね。いわば幽霊文字のように、それ自体を表象するために存在しているようです。

彼女に訊いてみたところ、これらの文字を書いていると「落ち着く」ということだそうです。これは僕も高校生の頃から文字新作をやっているのでよくわかります。文字を生産するという行為は、文字それ自体を物質としてそこに再生産するということであり、それは文字を再生産する主体をそれによって世界に結び付ける象徴的行為なのではないか、と最近は考えています。

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まあ、そういう難しい話を差し置いて、可愛くて不思議なゲシュさんの絵が見られるよい機会でした。