東京に特別展を観に行きました

5月31日(もう10日近く経っていた)、東京にいくつかの特別展を観に行きました。

交通手段はいつものさくら交通の高速バスです。2000円以下。今回の車両は普通でした。

午前7時10分に到着、秋葉原に着いた頃には行きたかったスーパー銭湯が閉まっていて残念。開館の9時半までを上野まで歩いて過ごします。

**ブリューゲルバベルの塔」展@東京都美術館

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僕の住んでいるシェアハウスがバベルを名前に冠しているので行ってきました。

ちょっと見に行くつもりが結構ボリュームあって二時間半ほど滞在してしまいました。

ブリューゲルをタイトルに掲げていますが、16世紀前後のネーデルランド美術が中心です。ヒエロニムス・ボス(ボッシュ)がブリューゲルに先立つものとして取り上げられていて、名前は初めて知ったんですが興味深い立ち位置の画家だと思います。フロイトの「不気味なもの(Unheimlich)」ですよね。そういや今度こんなのもある。

ベルギー奇想の系譜展 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで |ABC 朝日放送

バベルの塔はそれほど大きくなくて、絵の前に人だかりができてました。しかし絵自体はすごく細かくて、拡大したものを見ながらすごいなあと思っていました。東京藝大の人たちが3Dで再現CGを作っていて、これまたすごい努力だなあと思った次第です。バベルの塔を再現する試みって、改めて考えたら面白いですね。

 

**大エルミタージュ展@森アーツセンターギャラリー

これの前にミュシャ展を見ようと乃木坂の国立新美術館に行ったんですが、平日にもかかわらず午後2時頃で80分待ちとか気が狂いそうだったので、予定を変更してこちらを先にしました。

エルミタージュ美術館は国の威光をつけようと躍起になっていた当時のロシア帝国が作った美術館ですね。とはいえ当初は「エルミタージュ(Hermitage)」という名の示す通り、エカテリーナ大帝が個人的に欧州の絵画を蒐集していたのが始まりだそうです。人物がパッと浮かび上がるようなゴシック美術が多くて綺麗でした。あと平日は特別にエカテリーナ大帝の肖像画が撮れるというので撮ってきました。

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**ミュシャ展@国立新美術館

大エルミタージュ展を出る頃にはもう午後5時前で、これはもうミュシャ展無理かなと思いながら国立新美術館に来てみたら、5時10分時点で10分待ち。30分でも見れればいいやと思い、チケットを購入し列に並びます。

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入室しても当然ながら中は混んでてゆっくり見れないんですが、なんせ目玉のスラヴ叙事詩はめちゃくちゃデカいので十分見れます。近くで見れば色々観察できて面白いのでしょうか、なんせ高くてそこまで見れないし、確かに30分で十分だったみたいです。有名なポスターの絵もありましたが画集とかで見れるのでこれもサラッと見るだけ。にしてもミュシャチェコの国家事業にけっこう関わっているみんですね。スラヴ叙事詩民族意識から制作されたものですし。

余談ですがスラヴ叙事詩に関してはチェコ語にの発音に従い「ムハ(ミュシャ)」と表記されていました。韓国でもハングル表記はムハ(무하)でしたね。ムハだと何が何だかわかんないですよね、ゴッホがフランス語だとゴーになるみたいな。あとハムと紛らわしいし。

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改めて思ったのは、ミュシャってアール・ヌーヴォーに数えられたりしてますが、それってやっぱ違くないですか。人物を中心に据えて効果的に表現する画風は、先に観たゴシック美術の流れを汲んでいるように思えました。それから文字の装飾と配置ですが、これもカリグラフィーから発想はそれほど遠くないと思えます。それを幾何学的に配置するのは、確かに斬新ではあったのでしょうが。

ただやっぱりそれまでの西洋絵画とは違う点もあって、絵が写真的なんですよね。つまり人物の表情なんかが、ある一瞬を切り取ったもののように感じられたのです。これは絵画をある連続的な時間の結晶として表現した、それまでの絵画とは異なる特徴だと思います。馬に乗るあの有名なナポレオンの絵は、馬が立ち上がる瞬間ではなくその動的な過程を表現しているのでした。

それゆえ人物が何人か出てくると、スラヴ叙事詩にしても他の絵にしても、同じ時間と場所を共有する一群の人物というよりも、それぞれ別の時間から切り出された人物たちのコラージュという印象を受けました。ただそうした特徴をもってして、アール・ヌーヴォーと呼ぶのはやっぱりなんか違う、と感じます。

 

**オリエント工業40周年記念展「今と昔の愛人形」

これが一番行きたかったんです。

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最近はドールに対する興味がまた復活してきました。ラブドールはまた別ですけど、来てる人も女性が多くて、やっぱりドールとか人形に対する興味や愛好からだと思います。かといって会場が性的にニュートラルかというとそうでもなく、触れるコーナーとか指を入れられるコーナーとかあって面白かったです。

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こちらは「人をダメにする玩具」というタイトルがついていました。

ネットでも記事になっていますね。

女性客が6割! オリエント工業40周年記念展「今と昔の愛人形」で感じた「不気味の谷」が潜む場所 | ロボスタ - ロボット情報WEBマガジン

ここにも書いているんですが、不気味さは全然感じないんですよ。人かと思ったら人じゃなかったみたいな、そういうハッとすることはあったんですけど、別にあちらから何かしてくるわけではないし。どちらかというとこっちがどうこうするんですよね。

逆に言えば、人間の生々しさみたいなのがないです。触ると冷たくはないものの温かくもないし、ねとっとしているし。あとこっち見てくれないですよね(僕が見ようとしなかっただけかもしれないが)。これに生々しさを付け加えたものが、いわゆるアイドルなのかもしれないですが…。

Amazonでは品切れになっていた本を買えて良かったです。研究の資料にします。周りの人に見せても喜ばれます、特に女性。

午後10時過ぎの高速バスに乗って京都に帰りました。東京はいろいろ催し物があってよいですね。値段的には気軽に行けるんですが、やっぱり数時間に一度起こされる夜行バスは時々でいいかなあ。

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